修士課程のメモ帳

研究職と開発職の隙間に落っこちた新卒のお話

僕らの間を取り持つものは友情ではないの?

学部時代のバイトで知り合った女友達が半年ぶりに連絡してきた。僕も友達も一浪一留(ただし向こうは留学が理由)で同い年、この春別々の大学で別々の学部の学士を取得し卒業したことになる。そして4月から彼女は地元で就職をしたそうだ。

お互いラーメンが好きでバイト終わりに食べに行ったり、何も無い日でも気分の赴くまま突発的に食べに行ったりした。
僕がバイトを始めて半年程度経った頃に友達は1年間の留学のためにバイトを辞めた。留学に行ってすぐの頃は度々連絡をとっていたが、いつの間にか向こうのスマホが壊れLINEが使えなくなり音信不通になった。てっきり死んだかと思ってた。

最後のLINEから1年近く経過したある日、その友達から「憶えてるー?」とLINEが来た。憶えてるよと返し互いの近況報告もそこそこに、気がつくとラーメンを食べに行く約束が成立していた。大学の友達よりも前のバイト先の誰よりも先に僕に声をかけてくれたらしい。嬉しい話だったけど、正直なぜいの一番に僕に声をかけたのかは不思議で仕方なかった。

1年以上ぶりに再会し、ラーメンを食べ、その後喫茶店で互いの1年を話し込んだ。留学中の出来事、奇跡的に大きいオーロラを見たこと、留学先でイギリス人の彼氏ができたこと…。バイト先の様子、これからの進路、人生設計…。色んな話をしたけど彼氏の話が衝撃的すぎて、僕は友達としか見られてないはずなのに彼女にとっての何者なのかが分からなくなっていた。

その後大学生最後の1年が始まり、僕は卒業研究とバイトの両立に終われ忙殺されながら、棚ぼた的に彼女ができた。一方友達は教職と就活と卒論の両立に追われてたと思う。6月と11月に二度食事のお誘いがあったが、6月は多忙と急な提案だったので行けず、11月は彼女のことを考えると異性の友達と会うことがはばかられ、実現することはなかった。
それどころか別件で彼女の嫉妬を買っていたため、連絡することすら控えるように努めていた自分がいた。僕が僕の首を締めたのか、彼女が僕の首を締めてたのか…。去年のLINEはこの日で止まっていた。

そして今年のゴールデンウィークに半年ぶりに友達から連絡が来た。三度女友達からの連絡である。普通何か特別な考えがないと半年も連絡を取らなかった男友達と繋がろうとするとは考えにくい。だから友達にとって僕は何か特別な存在であるんだろうなとは考えているけど、正直友達を選ぶような特殊な僕がわざわざ選ばれるのかが分からない。なんなら「好き」という感情はないと言ってるのに何故同性よりも優先して僕なのか分からない。

一般に男女間の友情は成り立ちにくいという。僕もそう思う。男はある程度近しい女には自然と恋心というか、ただの知り合いとは違う扱いや振る舞いや関係性を抱いてしまうものであると思ってる。現に僕がそうだ。仲のいい女の子はみんな彼女にしたいくらい。一夫多妻制バンザイ。
男はそうやって勝手に盛り上がるのでただの友達としか見てなかった女側の方で関係が拗れる前に処理されるので男女間の友情は成り立ちにくいと考えられている。そう思うのだ。

つまり間が開いても連絡をくれる僕の女友達はあくまで一番仲のいい友達として僕に声をかけてくるのである。



…果たして本当なのだろうか?


友達はよく会話の中で「結婚したい」「子供が欲しい・可愛い」と再三口にしてきた。僕の前で。僕の知ってたり知らなかったりする誰かの前でも口にしていた。
僕も友達も今年25歳になる学年。ついにアラサーの仲間入りである。結婚願望は焦燥に変わり始めてもおかしくない。今から2年付き合ってから結婚したとして26,7歳。丁度いい年齢での結婚に残り2,3年しかないのだ。滑り込みまでで見ても残り4,5年。
僕もキープに入れられてるのではないか、そんな自意識過剰な予想は立てられなくもない。そうなるとこの関係にあるのはなんだ。友情ではない、打算ではないか。友達は一体何を考え何故僕に声をかける…。


今は奈良と中国地方と割と気軽に会えない距離感になってしまったため、突発的にラーメンを食べに落ち合うことが出来ず、だからと言ってLINEでは気軽に深い話をする雰囲気はない。会って落ち着いた雰囲気で気軽に人生どう生きていきたいか、それを吐き出したいように吐き出す関係ではないのか。僕は本当にただの仲の良い男友達でしかないのか。人の心は雲のように掴まえることが出来ないものだなと思った。